cushuは“新潟のおいしい”の合言葉です。

新潟の日本酒

おいしさの秘密

 

3 勝負酒にかける

日本酒業界にも、車でいうF1のようなレースがあります。新潟のお酒がエントリーする大きなレースは3つ。「全国新酒鑑評会」、「関東信越国税局酒類鑑評会」、そして県内外の越後杜氏が対象の「自醸清酒品評会」。これらに出品するお酒は、神経を研ぎ澄まし、蔵全体が緊張感に包まれながら醸されていきます。「けんか酒」とも呼ばれる勝負のお酒。この戦いの裏側にある蔵人たちのプライドこそが、酒造技術を高め、私たちが味わう市販酒のおいしさの原点となっているのです。

お酒業界では、7月1日から翌年の6月30日までの一年間を酒造年度(BY=Brewery Year)としています。例えば、平成21年7月から22年6月までが平成21酒造年度=平成21BYとなるわけです。その酒造年度のお酒の出来を評価する3つの鑑評会をご紹介しましょう。ちなみに潟ではこのほかに、各地域の杜氏組合などが主催する品評会もあります。

●全国新酒鑑評会

独立法人酒類総合研究所(広島県)と日本酒造組合中央会が共催する、全国的な鑑評会。新聞紙上や酒屋さん店頭で見かける「金賞受賞酒」というのは、この賞の受賞酒。明治44年(1911)第1回開催以来、平成20BYで97回を数える。対象となるお酒は、その酒造年度に製造された吟醸酒原酒。使う原料米によって第Ⅰ部と第Ⅱ部に区分され、入賞酒が決まり、その中でも特に優秀なものが「金賞酒」となる。4月~5月に審査、5月下旬に結果発表、6月中旬に一般の人を対象に東京で公開きき酒会が開催される。

●自醸清酒品評会

昭和43年から開催され、平成20BY(平成21年度)で42回を数える。新潟県酒造従業員組合連合会(現、新潟酒造従業員組合)主催の品評会で、対象は県内外の組合員がその年度に自分の蔵で製造した吟醸酒原酒。すなわち、全国で活躍する「越後杜氏」が醸した吟醸酒を評価する。「総裁賞」と呼ばれる一等賞をはじめベスト10にはカップが授与され、特別表彰される。式では杜氏とともに社長、杜氏の妻も壇上に上がり、酒造りの環境を提供した会社と、杜氏の仕事を支える妻の功労もたたえる。「越後杜氏」のトップが決まるシビアなレースだけに、この品評会への杜氏たちの思いには特別なものがある。4月上旬に審査が行なわれ、6月初旬に表彰式を開催。

●関東信越国税局酒類鑑評会

銘醸地、銘醸蔵が多数ある関東信越国税局管内で製造される日本酒の品質向上を目的として行なわれる品評会。平成21年度(平成20BY)で80回を数える。新潟のほか、茨城、栃木、群馬、埼玉、長野の酒蔵が対象。ほかの2つと大きく違うのは、秋に審査が行なわれる点。春搾った新酒の熟成度が重要になってくる。吟醸酒の部と燗酒の部の二部で審査が行なわれ、一つの蔵で両方に出品することも可能。10月上旬~中旬に審査が行なわれ、11月初旬に結果が発表される。優秀賞を受賞した入賞酒の中から、最優秀者と、各県総代が決まる。